一つの数字ではなく、一本の連鎖
政府が戦争の費用を払うとき、まず収入を使い、次に借入と貯えの取り崩しに頼り、それでも足りなければ最後は新たに生み出したお金に頼る。ロシアの場合が特殊なのは、制裁によって外部の選択肢の大半が閉ざされている点である。西側の資本市場はロシア国家に対して閉じられており、ほぼすべてを国内で調達しなければならない。
このモニターは、その資金調達を8つの指標からなる連鎖として追っており、各指標にはそれぞれ役割がある。石油・ガス収入は「駆動源」、財政赤字は「燃焼ペース」、国民福祉基金の流動部分は「バッファー」である。マネーの伸びは「通貨増発の検出器」、インフレは「最後のチャネルの出力」にあたる。残る3つの数値——地方予算、企業間の未払い請求、鉄道貨物——は、負担が連邦予算の外へ広がっているかどうかを示す。このガイドは連鎖を順にたどり、末尾の最新の数値が各環の現在の位置を示す。
石油・ガス収入:お金の出発点
財務省は連邦収入を二つに分けて公表している。石油・ガス収入と、それ以外のすべてである。前者は世界の価格や制裁など、政府が制御できない要因に左右され、連鎖はここから始まる。戦前の予算はこの変動を前提に組み立てられていた。石油価格が予算で定めた基準を上回るたびに、上振れした収入は悪い年に備えて国民福祉基金に積み立てられた。
財務省は毎月、連邦予算の執行データで石油・ガス収入を公表している。このモニターはそれをRosstatの消費者物価指数で2021年価格に換算し、直近12か月を合計して、伸び率ではなく2021年に対する水準として読む。2021年のこの収入は9.027兆ルーブルだった。弱い年からの反発は、水準が戦前をなお大きく下回っていても、力強さのように見えることがある。
戦争の最初の年は、この水準がどれほど大きく振れうるかを示している。2022年5月、12か月合計は2021年の実質水準の120.5%という頂点に達し、モニターの尺度では141点となった。系列全体は指標のページにある。登録された警戒ラインは2021年水準の半分である。詳しくは石油・ガス収入のガイドを参照。
財政赤字:穴が開く速さ
支出が収入を上回るとき、その差が財政赤字である。このモニターはそれを「燃焼ペース」として扱う。直近12か月の赤字をGDP比で表したもので、同じ財務省の月次データから算出する。戦争前の最後の丸一年である2021年は、5243億ルーブル、GDP比0.34%の小幅な黒字で終わり、この黒字が戦前基準となっている。警戒ラインはGDP比10%の赤字である。
赤字の拡大は、収入の減少からも、収入を上回るペースの支出増からも生じうる。赤字そのものはどちらが原因かを示さず、連鎖の残りの部分が埋めなければならない穴の大きさを示すだけである。増税と歳出削減は、その穴を直接小さくする。2026年から適用されている22%の付加価値税率がその一例で、方法論はその効果を年約1.7兆ルーブルとみている。こうした措置に専用の指標は要らない。データに現れた時点で、赤字に反映されるからである。詳しくは財政赤字のガイドを参照。
国内での借入:OFZ国債
赤字を埋める通常の方法は借入である。西側の市場が閉ざされているため、ロシアは国内で借入を行う。財務省が毎週開く入札で、連邦債であるOFZを銀行や基金に売るのである。財務省はすべての入札結果を、自ら定めた四半期の借入計画と対比して公表している。
このモニターは2026年8月22日まで、その計画のうち実際に売れた割合を追っていたが、その後この指標を廃止した。発行状況が示すのは赤字がどう賄われているかであって、ロシアが戦争の費用を払えるかどうかではない。入札が不調に終われば、赤字はこのモニターが直接測っている準備基金にのしかかるため、二つの数値は一体となって動いていた。さらに、この比率は財務省が自ら作成し、年の途中で書き換えた計画に左右されていた。理由は修正記録にある。
借入は実態より健全に見えることもある。国営銀行が国債の購入を迫られ、その背後に中央銀行のレポ操作があれば、入札は順調に消化される一方で、赤字は事実上新たに生み出したお金で賄われる。ロシアは2022年にこの手法を使った。だからこのモニターは、その痕跡を入札日程ではなくマネーサプライの中に探す。詳しくはOFZ国債のガイドを参照。
国民福祉基金:バッファー
収入と借入の後になお穴が残れば、お金は貯えから出てくる。すなわち、好調だった年の石油の超過収入で積み上げられた国民福祉基金である。財務省は毎月、国民福祉基金の統計ページで基金の規模を公表している。
総額は、実際に使える額を過大に見せる。基金の一部は流動的で、中央銀行に置かれた外貨と金からなり、財務省はこれを売ってルーブルに換えられる。残りは国営企業の株式、インフラ向け融資、すでに国内事業に使われた資金である。この部分は請負業者への支払いにすぐには充てられないため、このモニターは流動部分だけを追っている。全面侵攻の直前にあたる2022年2月1日、流動部分は、財務省の月次データに基づくモニターの再構成で1135億ドルだった。登録された警戒ラインは200億ドルで、これを下回ると基金はクッションではなく、単なる手元資金にすぎなくなる。
知っておくべきゆがみが一つある。基金はドル建てで数えられるが、基金が埋める赤字はルーブル建てである。そのためルーブル安になると、同じドルで赤字のより大きな部分を機械的に賄えるようになる。これは方法論で説明されている。詳しくは国民福祉基金のガイドを参照。
銀行信用とマネーの伸び
それでも赤字が埋まらなければ、残る道は新たなお金である。国営銀行は実際の貯蓄で裏付けられる以上に貸し出しを増やしたり、中央銀行の資金で国債を買ったりできる。どちらの場合も、広義のマネーの伸びは速まる。中央銀行は毎月、金融統計で広義のマネーであるM2を公表している。
このモニターはM2の前年比伸び率を読み、それを「通貨増発の検出器」と呼んでいる。戦前基準は年10%で、2015〜2021年の実測平均である。警戒ラインは年30%である。伸びの加速は統計的なシグナルであって、特定の支払いが新たなお金で行われた証拠ではない。それでも注視するのは、赤字を支えるために生み出されたお金が中央銀行自身の系列に現れ続けるからである。詳しくはM2マネーサプライのガイドを参照。
インフレ:家計が支払う場所
インフレは最後の環であり、マネーの伸びの加速による圧力がすべての家計に見えるようになりうる地点である。Rosstatは毎月、物価のページで消費者物価指数を公表している。
このモニターは物価水準ではなく前年比の上昇率を読む。物価は戦前の水準には戻らないが、上昇のペースは戻りうるからである。戦前基準は年4.6%で、Rosstat自身が公表した2017〜2021年の各年12月の前年同月比の平均である。警戒ラインは年40%で、経済成長の文献におけるインフレ危機のしきい値(Bruno–Easterly, 1998)である。詳しくはインフレのガイドを参照。
連邦予算の外側
残る3つの数値が、連鎖の周縁を見張っている。
- 地方予算。 ロシアの各地域は独自の予算を持ち、その赤字は最終的に連邦政府の肩にかかることがある。2021年、地域全体では0.661兆ルーブルの黒字だった。警戒ラインは12か月で2.5兆ルーブルの赤字である。
- 延滞債権。 企業同士が期限までに支払わない請求書で、Rosstatの月次報告に基づき、インフレ調整を加えたもの。基準は2022年1月の実質水準で、警戒ラインはその2倍である。
- 鉄道貨物。 国営鉄道網で積み込まれたトン数で、価格や比率よりも粉飾しにくい物理量である。ロシアの鉄道は2021年に12.83億トンを積み込んだ。警戒ラインはその80%である。
連鎖が語れないこと
8つの数値が測るのは、戦争を賄う能力であって、戦争そのものではない。軍事支出を直接測ることはなく、戦争がいつまで続くか、いつ何かが崩れるかも予測しない。低い数値は日付ではない。
いくつかの対処手段は、定期的な系列として公表されていないか一度限りのものであるため、意図的に連鎖の外に置かれている。中央銀行自身の金と人民元、国庫の現金残高、支払いの先送り、資産売却である。方法論はそれらを列挙し、それぞれを外した理由を説明している。
データそのものも細りつつある。2022年以降、900を超えるロシアの公式データセットが非公開になった。このモニターが読む情報源が公表をやめると、その指標は最後の数値を引き継がず、「不明」と表示される。情報源が沈黙すること自体がシグナルだからである。
最新の数値の読み方
下の各指標は同じ尺度で採点される。100は登録された戦前基準、0は登録された警戒ラインで、数値はどちらの端も超えうる。基準はあらかじめ固定されており、数値をよく見せるために動かされることはない。耐久力指数は8つの得点を一つの数字にまとめる。