M2が数えるもの

ロシア中央銀行は、範囲が順に広がっていくいくつかの貨幣集計量を公表している。M0は流通している現金である。M1はこれに、当座口座やカード口座のようにすぐに使えるルーブル建て預金を加える。M2はさらにルーブル建ての定期預金を加える。いずれもロシアの居住者、つまり企業と家計の双方が保有するものである。最も広い集計量であるM2Xは、外貨建て預金と銀行発行の債務証券も数える。定義は、中央銀行の貨幣集計量のページにある方法論の注記で説明されている。

したがって、M2はルーブル建てのお金だけからなる。ルーブル安になると外貨建て預金のルーブル換算額は増えるが、それが動かすのはM2XであってM2ではない。このモニターがM2を見ているのは、ルーブルで生み出され、ルーブルで保有されるお金を切り出せるからである。ルーブルは、予算が請求書を支払う通貨である。

データの出所

中央銀行は長年、M2を長大な月次のワークブック、すなわちM2系列のファイルで公表していた。このファイルは2025年4月の数字を最後に更新が止まった。このモニターは最後の数字を引き継ぐのではなく、情報源の沈黙として記録した。そのため2025年5月から、数値が再開した2026年6月までの期間、M2は「不明」と表示される。

現在の数値は、中央銀行の月次の貨幣集計量ページから取っている。このページは直近月について速報的な推計を公表する。推計は、完全なデータが届いた段階で改定されることがある。このモニターは各値を取得日とともに記録しているので、改定があれば指標のページでそれが見える。

戦前ペースと警戒ライン

このモニターはM2を、前年の同じ月に対する伸び率として読む。100にあたるのは年10%で、戦前のペースを表す切りのよい数字である。2015〜2021年の中央銀行の月次の前年同月比伸び率を平均すると10.2%で、2021年だけでは10.8%だった。基準は月次の伸び率の平均なので、どの年の12月対12月の数字とも一致しない。

0にあたるのは年30%である。この線は実測された事実ではなく、登録済みの判断である。その速さでは、通貨増発によって予算を賄っているという説明を退けるのは難しい。それでも、この数値だけではM2が伸びた理由を特定できない。二つの数字はどの数値も採点される前に固定されており、その根拠は方法論のページにある。

マネーの伸びが予算とつながる経路

予算が赤字になると、その穴は通常、借入と準備基金で埋められる。三つ目の経路は銀行を通る。銀行がレポ借入を含む中央銀行の流動性を使って国債購入の資金を賄い、予算がその代金を支出すると、支払いは新たなお金として企業や家計の口座に届き、M2を押し上げる。政府自身の口座はM2に含まれないので、表に出るのは国債の売却そのものではなく、支出のほうである。企業への銀行融資も、同じように預金を生み出す。このモニターの方法論は、その一つの形として2022年の例を挙げている。銀行は入札で国債を買うよう圧力を受け、中央銀行のレポ操作がそれを下支えした。このとき入札は健全に見えることがあるが、穴は事実上、新たなお金で埋められている。

だからこのモニターは、M2を「通貨増発の検出器」と呼ぶ。借入の数字は赤字の賄い方を隠しうる。M2はマネタイゼーションと整合する動きを示すことはできても、それだけでマネタイゼーションを特定することはできない。

M2が証明できないこと

お金は、予算とは関係のない多くの理由でも増える。家計は住宅ローンを組み、企業は投資のために借り入れ、預金者は外貨建てとルーブル建ての預金の間で乗り換える。M2の伸びの加速は、マネタイズされた赤字と矛盾しないが、それを立証するものではない。このモニターも、伸びのどの部分も予算に帰属させてはいない。

公式な答えに最も近いものは、中央銀行自身から出ている。その月次の貨幣集計量に関する発表は、最も広い集計量であるM2Xの伸びを源泉ごとに分けている。企業と家計に対する銀行の債権、政府に対する純債権(中央銀行はこれを予算操作の寄与と説明している)、そして対外純資産である。この内訳が対象とするのはM2XであってM2そのものではなく、このモニターはそれを採点していない。

M2はクラス3の指標であり、政策判断で直接動く率である。インフレと同じく、ほかの数値が示す負担に重みを加えることはできるが、クラス3の数値がトリガーに数えられることは決してない。

ほかの指標と合わせて読む

M2が最も役に立つのは、その動きの説明に役立ちうる数字と並べたときである。財政赤字が広がり、流動的な準備基金が縮み、同時にM2が加速するなら、三つを合わせたほうが、どれか一つよりも多くを語る。赤字が安定しているのにM2が加速しても、マネーが増えるほかの要因をなお検討しなければならない。M2だけでは一つの説明を選べない。マネーの伸びが物価に達しうる、連鎖の次の環については、インフレのガイドで扱っている。

下に表示される数値

下に表示されるのは、M2の前年同月比の最新の伸び率とその得点で、年10%が100、30%が0である。中央銀行が次の月次推計を公表すると更新される。