赤字とは何か、何ではないか
連邦財政赤字とは、ある期間に連邦政府が支出する額と徴収する額との差である。これはフローであって、ストックではない。その期間にどれだけの新たな資金調達が必要かは示すが、国家がすでにどれだけの債務を抱えているか、どれだけ貯えているかは示さない。それらは別の数字であり、このモニターは貯えを国民福祉基金の流動部分で直接読んでいる。
この数字が対象とするのは連邦予算だけである。ロシアの各地域は独自の予算を運営しており、その合計の収支はこのモニターでは別の指標、地方予算収支として扱っている。また赤字は、お金が何に使われたかについては何も語らない。示すのは穴の大きさであって中身ではなく、このモニターは軍事支出を直接測ってはいない。
数字の出どころ
財務省は毎月、連邦予算の執行データで連邦予算の執行状況を公表している。収入、支出、収支はいずれも年初からの累計で報告され、7月の数字は1月から7月までをカバーする。このモニターはそれらの累計を単月に戻し、直近12か月分を合計して、その結果をGDPで割る。
戦前の基準点も、同じ月次の執行ファイルから取っている。侵攻前の最後の丸一年である2021年、連邦予算は5243億ルーブルの黒字で終わった。GDP比では0.34%で、このGDPは財務省の国民福祉基金ファイルから導いた値である。
なぜ年初来ではなく直近12か月なのか
ロシアの政府支出は年末の12月に大きく集中する。そのため1月から数えた収支は、春と夏の月をよく見せてしまう。その年の支出の多くがまだ行われていないからである。収入も均等ではない。大型の石油税の一つは四半期ごとにしか納付期限が来ず、国家が国民福祉基金を通じて保有する株式の配当は年に一度しか入らない。たとえば2026年8月、連邦予算はそうした収入を1か月で5044億ルーブル受け取り、その84.3%はズベルバンクの配当だった。これは財務省の発表をもとに報じたとおりである。
12か月の期間には各季節がちょうど一度ずつ含まれるので、こうした効果は一度だけ数えられ、傾向と取り違えられることはない。その代償として、同じ月でも直近12か月の数字と暦年の数字は食い違う。両者を混ぜてはならない。直近12か月の合計には直近12か月のGDP比を、年初来の合計にはそれ自身のGDP比を組み合わせる。財務省自身の発表が示すのは年初来の数字だが、このモニターの数字は常に直近12か月である。
戦前基準はゼロではなく黒字
このモニターが最初に登録されたとき、赤字の尺度で100は均衡予算を意味していた。「平常」がどういう姿かについての判断である。2026年8月22日、その基準点は実際に起きたこと、すなわち2021年のGDP比0.34%の黒字に置き換えられた。赤字もほかのすべての指標と同じく、記録された戦前の事実に照らして測るためである。この変更とその理由は、日付入りで修正記録に記載されている。
警戒ラインは動いていない。GDP比10%の赤字であり、この戦争がこれまでに生んだどの値よりもはるかに外側にある。二つの基準点の間で得点は直線的に変化し、どちらの端も超えうる。
なぜ赤字は判定を起こさないのか
このモニターは、国家がどれだけ容易に数値を左右できるかによって、指標をクラスに分けている。赤字は政策判断が直接動かす比率なので、クラス3「価格と比率」に属する。税制の変更、歳出の凍結、次の四半期への支払いの先送りは、いずれも根底にある負担が何も変わらないまま赤字を動かしうる。クラス3の数値はほかの指標が示すことを裏付けるが、判定を起こすことは決してない。石油・ガス収入と流動的な準備基金はどちらもクラス2で、クラス2の指標が二つ同時に点灯したとき、つまりペアになったときにだけ判定を起こしうる。
穴はどう埋められるか
赤字の1ルーブル1ルーブルが、どこかから調達されなければならない。通常の調達源は国内での借入で、OFZ国債を財務省の入札で売る。借入の数字を赤字と突き合わせる際には、二つの細部が重要になる。
第一に、借入計画は国債を額面で数えるが、予算が受け取るのは買い手が実際に支払う額である。国債が額面割れで売れると、手にする現金は見出しの数字より少なくなる。2026年は9月3日までで、財務省自身の入札集計表が示す両者の差は4500億ルーブルに達した。これはその集計表についての私たちの分析で示したとおりである。
第二に、国営銀行が購入を迫られることで、入札が順調に消化されることがある。その場合、借入は健全に見える一方で、赤字は事実上、新たに生み出したお金で賄われている。だからこのモニターは、そのシグナルを入札結果ではなくマネーの伸びに探す。借入で賄えない分は、国民福祉基金の流動部分から支払うことができる。
予測に出てくる赤字は別の数字であることが多い
計画や予測は、しばしば別の定義を使う。中央銀行が2026年8月31日に公表した2027〜2029年の基本方針案は、構造的基礎的赤字を扱っている。この数字は石油・ガス価格の変動を調整し、利払いを除外したもので、実績ではなく予測である。中央銀行は2026年をGDP比2%と想定し、2029年にはゼロまで縮小するとしている。二つは別のものを測っているため、これをこのモニターの直近12か月の赤字と並べることはできない。予算法に書き込まれた赤字もまた別物で、実績ではなく計画である。
この数字が語れないこと
赤字の拡大はカウントダウンではない。収支は収入と支出の両方で動き、その動きの一部は中身ではなくタイミングによるものである。2026年8月、財務省はドローン攻撃で被害を受けた事業者について納税の延期を提案した。このように企業が税を後で納めることを認められた場合、収入は消えるのではなく、後の月に入ってくる。その納税延期についての記事がこの違いを説明している。
また赤字は、その資金調達が持ちこたえるかどうかも語れない。それは借入、準備基金、新たなお金のどれで賄われるかにかかっており、このうち後の二つは、このモニターで独自の数値を持っている。ロシアは戦争をどう賄っているかのガイドは、石油収入から物価まで、連鎖全体をたどっている。
最新の数値の読み方
このガイドの下には、GDP比で表した直近12か月の最新の赤字とその得点が表示される。100は2021年の黒字、0はGDP比10%の赤字である。財務省が新たな月の予算執行データを公表するたびに更新される。