この数字が測るもの
ここでいうインフレとは、固定された財・サービスのバスケットについて家計が支払う価格の上昇のことで、国の統計機関であるロシア連邦国家統計局(Rosstat)の消費者物価指数に記録される。Rosstatはこの指数を毎月物価統計のページで公表しており、それとあわせて、より限られた個別の財・サービスを対象とする週次の指数も出している。このモニターが使うのは月次の系列だけである。
このモニターは月次の指数から一つの数字を組み立てる。前年の同じ月に対する変化で、直近12か月の前月比指数を掛け合わせて算出する。この計算がつなぐのは二つの観測の間にある12回の月次変化であり、Rosstatの対象がより狭い週次指数は使わない。
なぜ水準ではなくペースなのか
このモニターの指標の多くは、戦争前の位置と比べた水準として測られる。消費者物価はそのようには読めない。ロシアの物価水準は2021年をはるかに上回っているため、戦前との比較には、それ以降に積み重なった値上がりがすべて残る。戦前の値に戻りうるのは、物価が上がる速さのほうだ。そこでこのモニターは、現在のペースを、戦争前にロシアが経験していたペースと比べている。
戦前基準と警戒ライン
戦前のペースは、実際に起きたことから取っている。Rosstat自身の12月対12月のインフレ率は、2017年が2.5%、2018年が4.3%、2019年が3.0%、2020年が4.9%、2021年が8.4%で、平均は4.6%である。これがこのモニターの100にあたる。
以前からそうだったわけではない。2026年8月22日まで、基準はロシア中央銀行の4%目標だった。中央銀行が目指した数字であって、戦前に実際に起きたことの測定値ではない。それが実測の平均に置き換えられたのは、インフレの基準も、ほかの指標と同様に、記録に残る戦前の事実に据えるためである。変更の日付は修正記録に残されている。
0にあたる警戒ラインは年40%である。インフレ危機に関する経済学の文献(Bruno–Easterly, 1998)から取ったもので、ロシアのデータに合わせて決めたのではなく、あらかじめ固定されていた。
数値が抑えられうる理由
バスケットに含まれる価格の中には、市場ではなく行政が決めるものがあり、燃料は世界価格から部分的に守られている。ロシア財務省は、国内で輸出パリティより安く燃料を売る製油所に対し、ダンパーと呼ばれる補助金を支払っている。この補助金は石油・ガス収入の中のマイナスの行として、財務省の月次の予算データに現れる。2026年には、政府は直接生産者によるディーゼル燃料の輸出禁止を9月30日まで延長し、最近では政令で延長を決めた。これにより、国内市場から燃料が出る経路の一つが制限された。
こうした措置によって、指数は措置がなければ示す水準より低く保たれうる。このモニターの方法論がインフレを慎重に扱っているのはそのためである。バスケットとそこに含まれる統制価格は管理できるものであり、負担がかかった局面では、シグナルが逆の方向を指すことさえある。
なぜインフレは判定を起こさず、裏付けにとどまるのか
このモニターは、国家が数字をどこまで操れるかに応じて、指標をいくつかのクラスにまとめている。インフレは、ほかの価格や比率とともにクラス3に属する。ほかの指標が示す負担を裏付けることはできても、判定を起こすことは決してない。クラス3の数値は、トリガーの成立にまったく数えられないからである。
残りは、連鎖の中での位置から説明できる。広がる予算の穴から生じる圧力が物価に届くのは、いちばん最後である。財政赤字が開き、準備基金が取り崩され、マネーの伸びが加速した後のことだ。インフレは、その圧力が家計の目に見えるようになる地点であり、その一つ手前の段階はマネーサプライのガイドで扱っている。
数値が語ること、語らないこと
高い数値は、その原因を特定しない。指数が記録するのはバスケット全体の動きであり、その変化を引き起こした要因までは切り分けられない。このモニターも、切り分けられるとは主張しない。
低い数値は、圧力が和らいだことの証明にはならない。規制価格と燃料補助金は、ほかの場所で負担が積み上がっている間も指数を抑えておけるからだ。この指標を単独ではなく、ほかの指標と並べて読むのはそのためである。
週次データによる推計と月次の観測値は同じものではない。中央銀行の調査報告では、表が8月のインフレ率を、観測された数字ではなく週次データに基づく推計として示していた。これに対し、このモニターが使うのはRosstatの月次ファイルだけである。
最新の数値
このガイドの下には、前年同月比で見た最新のインフレ率と、その得点が表示される。年4.6%を100、40%を0とする尺度である。Rosstatが次の月次指数を公表すると、表示も変わる。