最新の数字

ロシアの軍事費を一つの数字で示すことはできない。少なくとも二つの尺度、すなわち連邦予算の「国防」項目と、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)による軍事支出の推計があり、どちらにも年度前に立てられる計画と、年度後に確定する実績がある。下の表は、それぞれの種類の最新の数字を、何を測っているか、どこまで確かかとあわせて示す。

尺度年億ルーブルGDP比(%)位置づけ
「国防」項目202135,7362.7実績:全体が公表された最後の年
「国防」項目2025135,7486.3割当額:2025年11月の修正後予算
「国防」項目2026121,2105.2割当額:予算法
「国防」項目2027171,4746.9予算案:2026年9月30日に国家院(下院)へ提出
SIPRIの軍事支出2025159,6367.5SIPRIの推計値:修正後の2025年予算に基づく

GDP比の算出には、2021年と2025年はロシア連邦国家統計局(Rosstat)のGDP、2026年は2026年予算法が前提とするGDP、2027年は財務省の2026年9月の予測を用いた。SIPRIはIMFのGDPを用いている。ドル建てでは、SIPRIはロシアの2025年の支出をその年の為替レートで1904億ドルとしており、これは世界で3番目に大きい軍事予算にあたる。計画額をドルに換算した数字は、どのレートを選ぶかで変わる。財務省自身の予測レートである1ドル=87.4ルーブルで換算すると、2027年の17.15兆ルーブルは約1960億ドルになる。

情報源によって数字が違う理由

公表されている数字の食い違いの大半は、四つの区別で説明できる。

定義、期間、位置づけが示されないまま出回っている数字は、検証されていないものとして扱うのが無難である。

ロシアの軍事費の推移

下の二つの系列は、意図的に分けてある。測っているものが違い、つなげると実際には起きていない段差が生じるからである。

SIPRIの軍事支出、2000〜2025年。 SIPRIのロシアに関する系列は1992年から始まるが、表では2000年以降を示す。ルーブル額は名目値、ドル額は各年の為替レートで換算した値である。

年億ルーブル億ドルGDP比(%)位置づけ
20002,596923.3SIPRIの推計値
20013,4081173.5SIPRIの推計値
20024,3711393.8SIPRIの推計値
20035,2101703.7SIPRIの推計値
20046,0382103.3SIPRIの推計値
20057,7322733.3SIPRIの推計値
20069,3863453.2SIPRIの推計値
200711,1374353.1SIPRIの推計値
200813,9635623.1SIPRIの推計値
200916,3575153.9SIPRIの推計値
201017,8325873.6SIPRIの推計値
201120,6377023.4SIPRIの推計値
201225,1258153.7SIPRIの推計値
201328,1298843.9SIPRIの数値
201432,5058474.1SIPRIの数値
201540,4766644.9SIPRIの数値
201646,4486935.4SIPRIの数値
201739,0246694.2SIPRIの数値
201838,6356163.7SIPRIの数値
201942,1716513.8SIPRIの数値
202044,6216194.1SIPRIの数値
202148,5526593.6SIPRIの数値
202271,5001,0444.6SIPRIの推計値
202393,0001,0925.3SIPRIの推計値
2024138,2751,4946.9SIPRIの推計値
2025159,6361,9047.5SIPRIの推計値

2016年のピークには、防衛産業の債務の一度限りの返済が含まれている。2021年から2025年にかけて、SIPRIの数字はGDP比3.6%から7.5%に上昇した。実質ベース(2024年基準の恒常ドル)では131%増えている。

連邦予算の「国防」項目、2011〜2029年。 実際の支出は財務省の年次執行データによるもので、現行の分類によるデータは2011年から始まる。2022年以降、この項目の実績の全体は公表されておらず、合計は割当額としてしか現れない。

年億ルーブルGDP比(%)位置づけ
201115,1602.5実績
201218,1242.7実績
201321,0362.9実績
201424,7913.1実績
201531,8143.8実績
201637,7534.4実績
201728,5233.1実績
201828,2702.7実績
201929,9742.7実績
202031,6882.9実績
202135,7362.7実績
2022——実績は全体が未公表
2023——実績は全体が未公表
2024——実績は全体が未公表
2025135,7486.3割当額(修正後予算)、実績は全体が未公表
2026121,2105.2割当額(予算法)
2027171,4746.9計画(予算案)
2028166,0796.3計画(予算案)
2029162,9585.8計画(予算案)

実績の年のGDP比には、Rosstatの現時点の推計を用いた。戦前最後の年である2021年、「国防」項目は連邦支出の14.4%を占めていた。2025年の割当額では、この比率は32.1%である。

2026年:今年の国防予算

2026〜2028年の連邦予算法(2025年11月28日付連邦法第426-FZ号)は、「国防」に12兆1210億ルーブルを割り当てている。計画上の連邦支出の27.5%、同法が前提とするGDPの5.2%にあたる。これは2025年9月に提出された予算案より8095億ルーブル少なく、2025年の修正後の割当額を10.7%下回る。その一方で、社会政策の項目は予算案から予算法までの間に7352億ルーブル増えた。SIPRIは、その定義に含まれる項目を加えて、2026年の計画上の軍事支出を14.9兆ルーブル、GDP比6.3%と推計している。

割当額は、実際に使われる額の予測ではない。2026年6月26日付の法律により、政府は一定の範囲内で、予算法を改正せずに連邦支出を増やせるようになった。財務省は現在、2026年の連邦支出を48兆5272億ルーブルと見込んでおり、予算法の定める額を4.46兆ルーブル上回る。そのうちどれだけが国防に回るかは公表されていない。方向性を示しているのは「国防」項目の公開部分である。連邦国庫によると、2026年7月1日までに、その執行上の割当額は予算法の2兆9344億ルーブルから3兆4055億ルーブルへ引き上げられ、そのうち2兆2412億ルーブルが支出された。

2027年:予算案

政府は2026年9月30日、2027〜2029年の予算案を国家院(下院)に提出した。これに添えられた財務省の表では、「国防」項目には2027年に17兆1474億ルーブル、2028年に16兆6079億ルーブル、2029年に16兆2958億ルーブルが計画されている。2027年の数字は、計画上の連邦支出48兆7404億ルーブルの35.2%、予測GDPの6.9%にあたる。

2027年の計画額は、2026年予算法が2027年分として定めていた13兆5125億ルーブルを26.9%上回り、2026年の割当額を41.5%上回る。もっとも、2026年の実際の支出は割当額を超える可能性が高い。これらは下院がまだ可決しておらず、修正もありうる法案に書かれた計画値であり、実際に使われる額についてはまだ何も語らない。

GDP比で見たロシアの軍事費

SIPRIの尺度では、ロシアは2025年にGDPの7.5%を軍事に支出した。2021年の3.6%から上昇している。「国防」項目単独では、2025年にGDP比6.3%が割り当てられた。2021年の実績は2.7%である。2026年予算法はこの項目にGDP比5.2%を、2027年予算案は6.9%を計画している。

何を分母にするかも重要である。計画値のGDP比は、予測GDPに対する比率である。経済の成長が財務省の想定より遅ければ、同じ割当額でもGDP比は大きくなる。Rosstatは過去のGDPを改定し、SIPRIはIMFの数字を使う。そのため、同じ年について正当な方法で計算した二つの数字が、コンマ数ポイント食い違うことがある。

軍事費はどう賄われているか

「国防」は連邦予算で最大の項目であり、2022年以降の同項目の膨張は、侵攻以来、連邦予算が毎年赤字になっている大きな理由の一つである。資金の出どころは、石油・ガス収入、2026年に22%へ引き上げられた付加価値税(VAT)をはじめとするその他の税、OFZ国債による国内での借入、そして国民福祉基金の流動部分である。この連鎖はロシアは戦争をどう賄っているかのガイドで扱っている。穴そのものはロシアの財政赤字のガイドで解説しており、指標ページ「ロシアの財政赤字」で追っている。

この数字が意味すること、しないこと

軍事費が測るのは、国家が割り当てる額、あるいは支払う額である。軍事力を測るものではない。防衛産業で価格が上がれば、同じルーブルで買えるものは減る。また公表された数字は、そのお金が給与、装備、修理にどう配分されているかを示さない。戦争をあとどれだけ続けられるか、経済がそれを支えられるかも示さない。それを左右するのは収入、借入、準備金であり、このモニターはそれらを耐久力指数を構成する八つの指標で追っている。軍事費はその八つには含まれていない。

また軍事費は、戦争の費用の全体でもない。SIPRIの推計には、入隊者への契約一時金のような地方政府の支出、占領下のウクライナ領に対する連邦予算の支出、そして予算の外で経済が負う戦争のコストが含まれていない。より広い全体像は、概観ページ「ロシアの戦争経済」と、ロシアの戦争経済とはのガイドにある。

出典と方法

このページの数字はすべて、このガイドのために読み込んだ一次資料に基づいている。

GDP比と増減率は、これらの数字をもとにこのモニターが計算したものである。SIPRIは毎年4月に系列を改定し、その最新年は実績ではなく予算に基づいている。RosstatはGDPを改定する。このページは、予算法、予算案、執行報告、SIPRIの公表によって数字が変わったときに更新する。最終確認日はページ上部に記載している。

よくある質問

ロシアの軍事費はいくらか? 2025年について、SIPRIは15.96兆ルーブル(約1900億ドル)、GDP比7.5%と推計している。より範囲の狭い、予算の「国防」項目には13.57兆ルーブルが割り当てられた。

ロシアの2026年の国防予算はいくらか? 2026年予算法は「国防」に12.12兆ルーブルを割り当てており、同法が前提とするGDPの5.2%にあたる。実際の支出はこれを上回る可能性が高い。

ロシアは2027年の国防費をいくら計画しているか? 2026年9月30日に提出された予算案は、2027年の「国防」に17.15兆ルーブル、予測GDPの6.9%を計画している。これは計画であり、予算法が成立するまでに変わる可能性がある。

ロシアの国防費はGDPの何%か? SIPRIの尺度では2025年に約7.5%、「国防」項目単独では6.3%である。

ロシアの軍事費は2021年からどれだけ増えたか? SIPRIの数字は2021年の4.86兆ルーブルから2025年の15.96兆ルーブルへ増え、GDP比は3.6%から7.5%に上がった。実質では131%の増加である。

SIPRIとロシアの予算の数字はなぜ違うのか? SIPRIは軍人年金や準軍事組織なども含め、「国防」項目より広い範囲を数えている。また、ロシアが数字を秘密にしている部分については、推計値を公表している。