2026年第2四半期、ロシアの銀行の企業向け債権は3.8兆ルーブル、率にして3.7%増えた。第1四半期は0.7兆ルーブル、0.7%だったから、3か月で5倍を超える加速である。9月2日に公表された四半期の銀行セクター報告で、ロシア中央銀行はこの加速の理由を挙げている。同じ日の自らのプレスリリースには出てこない理由だ。予算の支出が減ったのである。

その一文

「伸びが加速した要因のひとつは、予算支出の減少である。2026年第2四半期は11.5兆ルーブルで、2026年第1四半期より1.4兆ルーブル少ない。企業は国家契約にもとづく今後の支払いを見込んで資金を調達した。」

これは中央銀行が仕組みを説明しているのであって、アナリストが推測しているのではない。国家が支払いを遅らせる。受注企業は銀行へ行く。銀行はまだ届いていない予算からの支払いを当て込んで融資する。支出の数字について、報告は財務省のデータによるとしている。同じ日のプレスリリース「融資の伸びは全セグメントで加速した」には、加速はあるが説明はない。

加速の中身

伸びの大半はルーブル建ての企業向け融資で、3.4兆ルーブル、4.0%の増加である。建設会社向けは1.2兆ルーブルで、うち0.6兆ルーブルが住宅デベロッパー向けだった。工業企業向けも1.0兆ルーブル増えた。デベロッパーの調達金利は平均より低い。ルーブル建て企業向け融資ポートフォリオの14.7%に対し9.9%であり、報告はこの差をエスクロー口座への資金の積み上がりで説明している。中小企業の債務の伸びは緩やかで1.8%、0.1兆ルーブル。社債の保有は0.5兆ルーブル増えた。2026年の企業向け債権の伸びの見通しは7〜11%に据え置かれた。

支払い義務はなくならない

報告が示す二つの数字を足せば、第1四半期の支出は12.9兆ルーブルだった。四半期の統計では国家の支出が1.4兆ルーブル減る。しかしその背後にある支払い義務はどこへも行かない。待っているだけだ。

同じ文書が、資金がいつ入る見通しかも述べている。銀行の顧客資金の見通しを引き上げた理由として、中央銀行はこう書く。

「当初の範囲を2パーセントポイント引き上げた。2026年下半期に顧客資金が大きく増えると見込むためである。年末には企業が国家契約にもとづく高額の支払いを例年どおり受け取り、12月には賞与と1月分の前倒し支払いによって国民の資金も増える。」

つまり一つの文書に両面が書かれている。企業が第2四半期に借りるのは支払いが来ていないからであり、その支払いは年末に来る。これは節約ではなく繰り延べである。資金は遅れているのであって、消えたのではない。繰り延べの代価は、受注企業が待つあいだ企業向け金利で払う利息だ。ルーブル建て企業向け融資ポートフォリオの加重平均金利は14.7%である。

これは外から見えるパターンも説明する。12月の予算支出の急増と、予算執行が整然として見えるあいだにも増えうる未払いの請求である。

融資の質に何が起きているか

報告は裏側についても率直だ。中小企業を含む法人向け問題債権の比率は0.2ポイント上がって11.8%となり、問題債権の残高は0.5兆ルーブル、為替再評価調整後で4.5%増えた。要因として挙げられているのは、一部の工業企業におけるリスクの高い条件変更が0.2兆ルーブル、不動産と石油ガス業種の一部の借り手の財務状況の悪化がそれぞれ0.1兆ルーブルである。

中小企業のポートフォリオでは問題債権比率が0.9ポイント上がって20.0%になった。これはルーブルで測ったその融資残高の5分の1であって、借り手の5社に1社という意味ではない。報告は自らの規制対応の理由を明示しており、その表現は二度読む価値がある。「倉庫、生産、商業の各施設への攻撃で被害を受けた」中小企業の借り手を銀行が支援するよう、規制当局はそれらの融資の条件変更を勧告した。この勧告は2026年8月7日付の情報書簡第IN-03-55/27号である。

問題債権の引当金と良質な担保による保全率はおよそ50%、中小企業セグメントではおよそ70%である。保全されていない部分は5.8兆ルーブルで、中央銀行はこれを規制比率を上回る資本バッファの最大でおよそ60%に相当するとしている。リスクは徐々に顕在化するため、管理可能だとの判断だ。

一方で利益は高い。同セクターは上半期に2.3兆ルーブルを稼ぎ、前年同期より36%多い。第2四半期は1.1兆ルーブルだった。2026年の利益見通しは3.4〜3.9兆ルーブルから3.9〜4.4兆ルーブルへ引き上げられた。

はるかに小さな数字に現れる同じ兆候

同じ日に公表されたロシア統計局の1〜7月の報告には、同じ方向を示す、桁がいくつも小さい数字がある。7月末の賃金の延滞総額は20.39億ルーブルだった。そのうち3450万ルーブル、1.7%は、予算からの資金が期日どおり届かなかったことによる。その内訳はこうである。

「予算の資金不足による延滞の総額のうち、82.5%は連邦予算、17.5%は地方自治体予算に帰属し、ロシア連邦構成主体の予算による延滞はなかった。」

金額は取るに足りない。3450万ルーブルは上に挙げた11.5兆ルーブルの傍らでは丸め誤差であり、延滞の全体でも月間賃金支払総額の1%に満たない。これ自体は何も測っていない。ただ、遅れがどこで生じたかは示す。国家が賃金の支払いに遅れるとき、それは連邦予算であって地方ではない。そしてこの数字は資金繰りがつまずくと大きく動く。2026年4月は7.876億ルーブルで3月の62倍、続いて5月は6.185億ルーブル、6月は2590万ルーブルだった。

これで私たちのモデルはどう変わるか

今日は動く指標がない。この報告に私たちのパーサーが読み込む系列はないからである。ただし三つの指標に関わり、その向きは異なる。

財政赤字100点中65点。7月時点で移動12か月の赤字はGDPの3.3%である。支出が12月へ押し出されているのなら、現在の数値は、12月を含んだあとの同じ指標の水準より良く見えていることになる。

延滞債権はこれが現れるはずの経路であり、いまは点数がまったくない。直近の観測値がモデルの許容する期間から外れたため、サイトは「分からない」と表示している。この指標が数えるのは組織間の延滞した請求であって、国家自身が負う金額ではない。予算からの支払いを待つ受注企業は、自らの取引先への支払いを止めて初めて系列に現れる。その間接的な痕跡すら、中央銀行が直接の痕跡の積み上がりを記述しているまさにその四半期に、消灯している。

マネーサプライ85点。四半期に3.8兆ルーブル増えた企業向け融資は、銀行システムが生み出した通貨である。第2四半期にそれを生み出したのは予算ではなく銀行だった。

分かっていないこと

報告は、どの国家契約について、どの業種の企業が支払いを見込んで借りたのかを述べていない。「工業企業向けに1.0兆ルーブル」は製造業全体をまとめたものである。11.5兆ルーブルを連邦予算と予算システム全体とに分ける内訳もない。そして予算支出が1.4兆ルーブル減った理由も説明していない。意図的な引き延ばし、契約手続きの遅さ、受注企業側の遅延のいずれでも同じ数字になるが、報告はどの説明も選んでいない。

8月7日の情報書簡は引用されているが本文は載っていない。攻撃を受けた中小企業の借り手について、件数も金額も地域別の内訳も示されていない。ロシア統計局の延滞の数字は組織自身の報告にもとづき、小規模企業を含まない。報告書を提出しない企業はそこにまったく現れない。