国民福祉基金(Fond natsionalnogo blagosostoyaniya、NWF)は、ロシアが非常時に備える国富ファンドである。平時には、石油価格が予算に組み込まれた基準を上回るたびに得られる石油・ガスの超過収入を、悪い年のために積み立ててきた。戦争こそがその悪い年にあたる。西側の資本市場が閉ざされ、石油・ガス収入が圧迫されるなか、この基金は、政府が穴埋めのために通貨を増発する前の最後の準備金である。

重要なのは流動部分の額

基金の総額という見出しの数字は誤解を招く。これがこの基金について理解すべき、もっとも重要な一点である。基金は性質のまったく異なる二種類の資産を持つ。一つは流動的な部分——中央銀行に保管された外貨と金で、財務省が翌日にでもルーブルに換えられる。もう一つは非流動的な部分——すでに国内プロジェクトに投じられた資金、国有企業の株式、インフラ向け融資である。これらの資産では兵士や請負業者にすぐ支払うことはできない。急いで現金化しようとすれば、買い手が見つかったとしても、戦略的な保有株を損失覚悟で手放すことになる。

したがって、総額という見出しの数字は大きいままでも、実際に使える部分は縮小しうる。私たちのモニターが追うのは流動部分のNWFだけである——総額から非流動資産を差し引いたもの——実際に赤字を埋められるのはその資金だけだからだ。

なぜこれが連鎖の中の「バッファー」なのか

石油・ガス収入が落ち込んでも、赤字は賄わなければならない。それを賄う通常の方法は国内借入——OFZを売ることである。その入札で資金を調達できなければ、代わりに流動性のあるNWFから資金が出る。だからこそ基金はこの因果の連鎖でこの位置にある——収入が落ち込み、借入が失敗したあとに赤字を吸収する「バッファー」である。その先にあるのは中央銀行による通貨増発だけであり、それが現れるのはここではなくロシアのM2マネーサプライ伸び率である。

警戒ラインはどこにあるか

私たちが登録している流動部分の警戒ラインは200億ドル未満である。この基準は勘に基づくものではなく、算術に基づく。登録された赤字レンジ、年6.5兆〜7.5兆ルーブルのもとでは、200億ドルはおよそ1.6兆ルーブル、つまりその赤字の2.5〜3か月分にあたる。それを下回れば、基金は「バッファー」ではなく単なる手元資金になる。

基準点には、財務省自身の月次ファイルから取ったドル建ての流動残高を使う。100は開戦直前の1 135億ドル、0は200億ドルで、登録した赤字レンジのおよそ2か月半分にあたる。

この線はあらかじめ登録されたものであり、実測値に応じて動くことはない。理由は方法論ページにある。

交差しても意味しないこと

その線を割り込むことは、破綻の日付を意味しない。流動部分が空になった政府にも、なお選択肢は残っている。それぞれに代償がある——国有銀行に自国の国債の購入を迫ること、中央銀行を通じて赤字をマネタイズすること、増税、歳出削減。そのいずれもが、モニターの他の場所に痕跡を残す——それこそが、一つではなく八つの指標を見る理由である。より正確な言い方は「資金が尽きる」よりも限定的だ。流動部分が縮むにつれて、赤字が秩序だった形で着地できる先が減っていく、ということである。モニターが測るのは戦前の2021年を基準とした水準であり、日付を予測するものではない。